アンモニア [ 英: ammonia ]
- 分子式:NH₃
- 常温・常圧では無色透明の気体(無水アンモニア)
- 常圧の場合は-33℃、20℃では8.5気圧で液化する。
名称の由来は、古代エジプトのアモン神殿の近くからアンモニウム塩が産出した事による。
ラテン語の sol ammoniacum(アモンの塩)が語源。「アモンの塩」が意味する化合物は食塩と尿から合成されていた塩化アンモニウムのことで、アンモニアの工業的合成法の確立でハーバーとボッシュがノーベル賞(1918年、1931年)を受賞。
アンモニアといえば…「くさい」!
強烈な刺激臭は、意識を失った人に気つけ薬として嗅がせることもあるくらい。
でも、くさいだけじゃなく、実は身近にはアンモニアに関わるものがたくさんあります。
こんなところにも!?
意外と身近にあるアンモニア
汚れ落としの強い味方
アンモニア水は、石けん水などと同じアルカリ性のため、石鹸がなかったローマ時代には、尿を発酵させて作ったアンモニアを水に溶かして洗濯に使っていたそうです。
今でもアンモニア水は、水だけでは落ちない汚れを落とすときに大活躍。スーツ・ジャケット・学生服の丸洗い、血液のしみ落とし、ペットの粗相の後の掃除にもおすすめ。アンモニア水は揮発性なので、きちんと乾かせば、においは残りません。
アンモニアを水に溶かした「アンモニア水」は薬局で誰でも買うことができます。
さまざまなものに変身!
アンモニアは、私たちの生活に欠かせない物質の原料として利用されています。肥料になる硝酸アンモニウム、化粧品の材料になる尿素、あったか素材・クール素材の服に欠かせない合成繊維、お菓子作りに使うベーキングパウダーなど、アンモニアから作られる物質はあらゆる場面で活躍しています。
そのため、アンモニアは、世界でもっとも多く作られる化学物質の一つとなっています。(世界で約2億トンが生産・消費されています)
あなたの中にも!
食物の中に含まれるタンパク質や、消化管の分泌液が分解されることで、私たちの体内ではアンモニアが発生します。このアンモニアは、肝臓で尿素に変えられ、オシッコとして体の外に出て行きます。血液中のアンモニアの濃度は肝臓機能の指標にも使われています。
激しい運動や高タンパク質の食事、時には疲れが原因で肝臓の働きが追いつかないと、体からアンモニア臭い「疲労臭」が出てくることも。枕がアンモニア臭くなっていたら、お疲れのサインかも…?
実はこんなところでも
くさや(伊豆諸島特産の魚の干物)や韓国のホンオフェなど、刺激臭のする発酵食品の臭気の主成分がアンモニア。
他にも、パーマ液やヘアカラー剤や、昔から使われている虫刺され薬など、身近なものに含まれています。ツンとした刺激臭を感じたら、成分表を見てみて。「アンモニア」を発見できるかも…?
意外と身近にあるアンモニア、実は人類の歴史を変えた物質でもあるんです。
詳しくは「あかるい未来をきりひらく~エネルギー問題の救世主~」をご覧ください。
~ エネルギー問題の救世主 ~