
Home > FAQ7


アンモニアはどこで使われるのか?
A. アンモニアは100年以上前から工業生産され化学肥料や化学品原料として使われてきました。今新たにクリーン燃料として主に火力発電所、船舶、工業炉などに適用が進められています。


- アンモニアは100年以上前から工業生産されています。とくに肥料の原料として多く使用され、世界の農業生産に貢献し、食料不足を救ってきました。2020年の世界のアンモニアの生産量は約2億トンです。そのうちの約8割は化学肥料として、残りの約2割は合成繊維等の化学品原料として使われています。アンモニアは燃焼時にCO2を排出しない特性を生かして、今新たにクリーン燃料として主に火力発電所、船舶、工業炉などに適用が進められています。
- 最も開発が進んでいるのは大型火力発電所での利用です。火力発電所では燃料として液化天然ガス(LNG)、石炭などが使用されています。特に石炭は燃やしたときに排出するCO2の量が多く、そのCO2を削減するために注目されているのが石炭をアンモニアに置き換える方法です。アンモニアは燃えてもCO2が出ません。石炭をアンモニアに置き換えていくことで、発電量はそのままにCO2を減らすことができるのです。現在の発電設備の一部を改良することで、アンモニアを燃料利用することができるので、発電設備の新設に比べ費用が掛からないことも利点です。
- なお、この石炭をアンモニアに置き換える方法は日本の独自技術によって実現されていることが特長です。石炭はボイラの燃料として使われています。ボイラとは燃料を燃やした熱で高温・高圧の水蒸気を作る設備のことで、その水蒸気でタービンを回転させ、発電機を動かし電力を供給します。次の図で左がボイラ全体、右がアンモニアを燃焼させるバーナです。このバーナにアンモニアをきちんと燃やしきるための工夫があります。特に大きなポイントは、燃料であるアンモニア(下図の緑矢印)と、燃やすための空気(下図の青矢印)の混ぜ方です。図に示す例においては、空気を入れるとき、旋回、渦になるように入れることで、燃焼した後の温度が高く酸素濃度が低い排気ガスをバーナの入口に戻す「再循環流」(下図の赤矢印)を作ることにあります。この手法によって、安定した燃焼と窒素酸化物の発生の抑制の両立が可能となってきています。

発電用ボイラの構造とバーナ 提供:(株)IHI
- ここで技術開発の沿革を振り返ると、まず石炭の一部をアンモニアに代える技術が開発され、
2024年に碧南石炭火力発電所の100万kW発電設備で石炭から20%をアンモニアに置き換えた実証が行われ、運用性能および環境性能において良好な結果が得られました。これを受け、商業運転に向けて取り組んでいます。

実証を行った碧南火力発電所 提供:(株)JERA
- もう一つは天然ガスを燃料に用いるガスタービンで全量アンモニアに置き換えるものです。ガスタービンは燃料を燃やしてできた高温のガスでタービンを回転させ、発電機を動かして電力を供給します。加えて、このときのガスタービン出口の排熱を回収して蒸気タービンも回転させることができるため、ボイラのみを利用した発電よりも効率よく電力を作り出すことができます。数百MW級の大型発電への展開を目指し開発しています。

アンモニアガスタービン 提供:(株)IHI
- アンモニアは船舶燃料としても注目されています。船舶では重油が用いられることが多いですが、それらをアンモニアに切り替えていこうという取り組みです。アンモニア燃料船は2026年に外航船の運航が始まる予定です。これに先駆けタグボート「魁」が2024年から東京湾で商用運航しています。

タグボート「魁」 提供:日本郵船(株)

大型アンモニア輸送船 J-FLEX 提供:(株)商船三井
- また、アンモニアは金属・ガラス等の加工向け工業炉の熱源に用いることが可能です。工業炉
とは、材料を目的の温度で溶解・加熱・熱処理するための装置を言います。工業炉でのCO2排出量は日本のCO2総排出量の13.5%を占めるとされており、脱炭素化が必須の産業分野のひとつです。工業炉では天然ガスなどの化石燃料を用いるものと、電気を用いるものとに大別されますが、前者の化石燃料を用いるものをアンモニアに切り替えようという取り組みです。直接製品に火炎があたるため、製品への影響を見ながら開発が進められています。

ウォーキングビーム型加熱炉 提供:中外炉工業(株)
- このほか、アンモニアを分解すると水素を製造できるため、水素としての利用も可能です。

〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2丁目1番地8 竹橋ビル9階
EMAIL : office@greenammonia.org
