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Q4


燃料アンモニアは十分手に入らないのではないか?

A. 近年、世界各国でクリーンアンモニアの製造が計画されており、十分に入手可能な見込みです。
  • 現在、日本のアンモニア需要はおよそ年間100 万トンですが、例えば1,000MWの石炭火力発電で20%アンモニアへの燃料転換を行うとすると、年間需要はおよそ50 万トンとなり、日本の現需要の半分を占める量となります。アンモニアは、水素と異なり既に商用ベースでの国際取引が行われていますが、燃料として利用する場合には需要が膨大となるため、燃料アンモニアの社会実装には、LNGのように大規模なサプライチェーンの構築が重要です。
  • 資源エネルギー庁が主催している「燃料アンモニア導入官民協議会」の中間取りまとめでは GHGの排出削減のため2030 年に300 万トン2050 年に3,000 万トンの燃料アンモニアの国内需要を想定するとともに2050 年に世界全体で1億トン規模の日本企業によるサプライチェーン構築を目指すとされています 1)
  • 燃料アンモニアの供給に対しては米州 豪州や中東などCCS を含めたアンモニア製造が可能な国や再生可能エネルギーの賦存量が大きい国が興味を示しています。アンモニアについては既に製造方法・輸送方法が確立されており国際的な需要量拡大に応じた製造能力の拡充には各国での導入政策及び個別案件の立上げ等に一定程度の時間を要しますが他のエネルギーキャリアよりも早期にサプライチェーンの構築が可能と考えています。
  • 2022年12月に開催された独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)主催の「QUADアンモニアバリューチェーン ワークショップ」でのアンモニアエネルギー協会 (AEA)※1 による講演では、これまでに世界で公表された燃料アンモニアの製造計画におけるブルーおよびグリーンアンモニアのそれぞれの年間製造量を集計すると2030年までにブルー2,060万トンおよびグリーン4,720万トンさらにそれ以降も含めるとブルー2,710万トンおよびグリーン1億4,470万トンに達することが示されました2)。これらによれば上述の日本および世界の燃料アンモニア需要にも十分対応できるものと期待されます。このように需要が増大するクリーンな燃料アンモニアの製造拡大に向けて供給側も準備を進めています。
  • 尚、これらの燃料アンモニア製造計画がしっかりと社会実装まで至ることが重要となります。IRENA※2によると、2024年から2050年までの世界全体の燃料アンモニアの需要増加分は年産で約3.6億トン3)と見込まれていますが、アンモニア製造プラントの建設期間3~5年を加味して仮に2030年から2050年の20年間でこれを達成するためには、単純按分で年間1,800万トンの生産量の拡大が必要となる計算になります。これに対し、過去のアンモニアの生産量の拡大幅(≒年間のプラント新設数)の実績やLNG産業の黎明期から拡大期にかけての生産能力拡大及び投資流入増加の実績を踏まえ、且つ、今後の技術革新によってアンモニア製造プラント1基あたりの生産能力が200万トン~300万トン超4)となることが見込まれていることも考慮すると、充分建設可能な規模であると考えられます。

※1「アンモニアエネルギー協会(AEA)」: 米国に本部を置く、クリーンアンモニアの製造・流通・利用の普及促進に向けた活動を行う国際団体。2023年12月31日現在、世界の関連企業252社が加入。

※2「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」:再生可能エネルギー(太陽、風力、バイオマス、地熱、水力、海洋利用等)の普及及び持続可能な利用の促進を目的として設立された国際機関。2024年3月27日現在、加盟国数は168ヶ国とEU。

1) 燃料アンモニア導入官民協議会、 「燃料アンモニア導入官民協議会 中間取りまとめ」(2021年2月)

htps://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/nenryo_anmonia/pdf/20200208_1.pdf

2) T. Brown (Ammonia Energy Association), “Ammonia Certification”, Quad Workshop on Ammonia Value Chain (Dec 2, 2022).
https://www.jogmec.go.jp/content/300381306.pdf

3) IRENA Innovation Outlook Renewable Ammonia (2022)
https://www.irena.org/-/media/Files/IRENA/Agency/Publication/2022/May/IRENA_Innovation_Outlook_Ammonia_2022.pdf?rev=50e91f792d3442279fca0d4ee24757ea

4) KBR Launches Ammonia 10,000 to Meet Future Sustainable Energy and Fertilizer Demands (Oct 31, 2022)
https://www.prnewswire.com/news-releases/kbr-launches-ammonia-10-000-to-meet-future-sustainable-energy-and-fertilizer-demands-301663000.html
















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