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Q3


燃料アンモニアを利用することは、結局はCO2の削減につながらないのではないか?(ライフサイクルCO2は高いのではないか)

A. CO2の貯留・回収(CCS)を利用したり再エネからアンモニアを合成することにより、風力/太陽光発電並みの低いCO2発生に抑制可能です。

概要:燃料アンモニアは、化石燃料や再生可能エネルギー等を用いて製造する手法が考えられます。化石燃料からアンモニアを製造する際に発生するCO2を回収・貯留(CCS)すること等を通じてCO2を固定化する、あるいは、再生可能エネルギーからアンモニアを製造することによりライフサイクルCO2を削減することができます。

詳細:アンモニアは燃焼利用時にはCO2を排出しませんが、化石燃料から製造する場合は、製造過程でCO2を排出します。したがって、アンモニアの製造を含めたトータルでのCO2(ライフサイクルCO2;LCCO2)排出量の評価が重要です。

例えば、国際エネルギー機関(IEA)※1 が2021年度に公表したレポート「The Role of Low-Carbon Fuels in the Clean Energy Transitions of the Power Sector」1) では、アンモニア製造によって排出される温室効果ガス(GHG)の量が製造方法別(石炭/天然ガス/バイオマス/水電解)に示されています。

出典:IEA, 2021, “The Role of Low-Carbon Fuels in the Clean Energy Transitions of the Power Sector”, P.51

天然ガスからアンモニアを製造する場合、CCS無しのケースでは、グラフ内グレーエリアの通り、石炭を燃焼させた場合とほぼ同等のGHGが排出されますが(グラフ①)、CCSを行うことによりGHGを大幅に削減することが可能です(グラフ②)。※なお、CFAAの内部検討でも同様の結果が得られています。

グラフ②で残っている天然ガス採掘時のGHG排出(”Upstream”)を削減する取り組みも進められており、技術的には、再生可能エネルギー(風力/太陽光)から製造した場合(グラフ③)と同等のGHG排出量を達成することが可能です。

また、アンモニアを輸送するタンカーのGHG削減も重要です。タンカーの燃料としては重油が一般的ですが、現在アンモニアを燃料とする船舶用エンジンの技術開発が進められています。

同様に、利用側では石炭火力発電所での実機を用いたアンモニア20%混焼の実証試験に向けた準備が進められており、より高い混焼率、専焼化に向けた技術開発も行われています。

アンモニアの燃料利用に関する製造、輸送、利用の技術進展により、CO2排出をサプライチェーン全体で大幅に削減することが期待されています。

1) 小林、 早川、 カーボンフリーアンモニア燃焼、 日本燃焼学会誌、 Vol.58 No.183 (2016) 41-48

2) JERAホームページ 「碧南火力発電所のアンモニア混焼実証事業における大規模混焼開始時期の前倒しについて」(2022年5月31日)

https://www.jera.co.jp/information/20220531_917

3) 村井、 中塚、 東野、 赤松、 工業炉におけるアンモニア直接燃焼に関する研究、 日本燃焼学会誌、 Vol. 61、 No. 198 (2019)、 pp.320 -325

4) 友澤、 服部、 工業炉における脱炭素燃焼技術の開発動向、 工業加熱、 Vol. 59、 No. 6 (2022)、 pp. 1-7.

5) IHIホームページ「世界初、液体アンモニア100%燃焼によるガスタービンで、CO₂フリー発電を達成~燃焼時に発生する温室効果ガスを99%以上削減~」(2022年6月16日)

https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2022/resources_energy_environment/1197937_3473.html

6) 国際海運GHGゼロエミッションプロジェクト「国際海運の2050年カーボンニュートラル達成に向けて」(2022年3月)

https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001484435.pdf

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