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Q5


窒素酸化物やアンモニアが大量に大気に排出されるのではないか?

A. 日本の強みであるアンモニア燃焼技術等を駆使することで、窒素酸化物やアンモニアの排出を現状以下に低減可能です。
  • 燃料アンモニアは従来使われてきた化石燃料に対し燃えにくい特徴があり、適切な方法で燃焼させなければ、窒素酸化物 (NO、NO2、 および地球温暖化係数が高いN2Oなど) や燃焼しきれなかったアンモニアが排出される可能性があることが、これまでの研究によりわかってきました。
  • 燃料アンモニアを使うことでGHG(温室効果ガス)削減が可能となっても、新たな環境負荷を地球に与えることは許されません。GHG以外の有害成分排出も、現状以下となるよう、研究開発・社会実装を進めていくことが必要です。
  • どのように燃焼させればCO2含むGHGと窒素酸化物、未燃焼のアンモニア排出量を同時に抑制できるのか、産官学が力を合わせて研究開発を進めています1-6)。例えば、石炭火力発電所では、20%アンモニアを混焼させることでCO2排出を20%削減しつつ、従来と同等の窒素酸化物排出量に抑制するプロジェクトが進んでいます2)。また、工業炉のバーナ燃料にアンモニアを用いる場合は、酸化剤の吹込み方法を工夫する事で、排ガス中のNOxを国内の環境基準以下に抑える事ができることも、これまでの研究で分かってきました3, 4)。その他、ガスタービンでは、アンモニア専焼の場合でも、未燃焼のアンモニアとN2Oの排出なく2,000kWの発電ができることが示され、GHGが99%以上削減できるという成果も出ています5)
  • また、国際海運および日本国内の内航海運においても、船舶の推進燃料の脱炭素化に対する有力な手段の一つとして、従来の重油や天然ガス等からアンモニアへの燃料の転換が検討されています。その重要な開発課題として排出ガス中の残留アンモニアおよびNOxの削減が想定され、推進機関のディーゼルエンジン等におけるアンモニアの燃焼やNOx排出削減の最適化に向けた改良、および排出ガス中の残留アンモニアやN2Oを含むNOxの触媒分解装置による除去の両面について、国内外で開発が進められています6)
  • このように、正しいアンモニアの燃焼方法・排気ガスの浄化方法を使用することで、大気への窒素酸化物やアンモニアの排出を現状以下に抑えつつ、GHGを削減することが可能です。さらに、日本が一丸となって開発してきたアンモニアの利用技術が、国内だけでなく海外でも採用されるよう、国際標準化に向けた活動も進められているところです。

1) 小林、 早川、 カーボンフリーアンモニア燃焼, 日本燃焼学会誌, Vol.58 No.183 (2016) 41-48

2) JERAホームページ 「碧南火力発電所のアンモニア混焼実証事業における大規模混焼開始時期の前倒しについて」(2022年5月31日)

https://www.jera.co.jp/information/20220531_917

3) 村井、 中塚、 東野、 赤松、 工業炉におけるアンモニア直接燃焼に関する研究, 日本燃焼学会誌, Vol. 61, No. 198 (2019), pp.320 -325

4) 友澤、 服部、 工業炉における脱炭素燃焼技術の開発動向、 工業加熱、 Vol. 59, No. 6 (2022), pp. 1-7

5) IHIホームページ 「世界初、液体アンモニア100%燃焼によるガスタービンで、CO₂フリー発電を達成~燃焼時に発生する温室効果ガスを99%以上削減~」(2022年6月16日)

https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2022/resources_energy_environment/1197937_3473.html

6) 国際海運GHGゼロエミッションプロジェクト「国際海運の2050年カーボンニュートラル達成に向けて」(2022年3月)

https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001484435.pdf

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